2025年の工務店数の推移が示す住宅業界の動向|着工戸数が減る市場での生き残りに求められること

公開日:2025.10.23
最終更新日:2025.11.22

2025年の工務店数の推移が示す住宅業界の動向|着工戸数が減る市場での生き残りに求められること

新築注文住宅着工戸数の減少が続くなか、住宅業界は大きな転換期を迎えています。

建設業全体の許可業者数は増加傾向にあるものの、工務店を含む「建築工事業」はやや減少し、市場の競争激化がうかがえます。

安定した受注を確保するには、効率的なWEB集客戦略が欠かせません。

今回は、住宅建築業界のWEB担当者様をサポートするウェブタン(住宅建築WEB担当者育成協会)が、「工務店数の推移」に関する最新データや市場動向を交えて、経営戦略や集客戦略を考えるうえで必要なポイントをわかりやすく解説します。

「外注に頼らないWEBサイト運用」を目指す住宅業界の企業様・WEB担当者様は、ウェブタン(住宅建築WEB担当者育成協会)へお問い合わせください。

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工務店数の推移と住宅市場の関係

工務店数の推移と住宅市場の関係

工務店の数と住宅市場の動向は、深く関連しています。

建設業全体の許可業者数の増減や新築住宅着工戸数の最新データを基に、市場で現在どのような動きが起きているのかを確認しましょう。

工務店数の推移【都道府県別】

国土交通省の調査によると、建設業全体の許可業者数は令和6年時点で約48万業者です。

令和4年から2年連続で増加しています。

【建設業の新規参入と廃業件数】

年度許可業者数廃業件数
令和4年474,948件16,749件
令和5年479,383件11,832件
令和6年483,700件11,847件

年間の廃業件数が1万件を超える一方で、それを上回る新規参入があり、市場競争が激しくなっていることを表します。

他社との違いを明確にし、WEBを通じてお客様に価値を届ける取り組みが求められます。

新築住宅着工戸数の推移

次に、住宅市場の動向を見てみましょう。

国土交通省の発表によると、6カ月連続の減少で、市場の縮小傾向が顕著になっています。

  • 新築住宅着工戸数(令和7年9月):63,570戸
  • 市場の動向:前年同月比で 7.3%の減少

建設業全体の許可業者数は微増していますが、工務店を含む「建築工事業」の許可業者数は減少傾向です。

新築の需要が落ち着いてきた今、工務店の経営も変化に合わせた舵取りが求められます

建築業界が直面している3つの課題

建築業界が直面している3つの課題

住宅市場が変化する建築業界では、以下3つの課題に直面しています。

  • 「2024年問題」による人手不足
  • 収益性の圧迫
  • DX化の遅れ

「2024年問題」による人手不足

働く人の4分の1が60歳以上という高齢化が進む一方で、若年層の離職率も高いままです。

さらに、2024年4月から時間外労働の上限規制が始まり、一人ひとりの労働時間が法的に制限されました。

この規制が、以前からの人手不足に拍車をかけています。

人手不足倒産は2025年度上半期だけで202件にのぼり、過去最多の水準に達しました。

収益性の圧迫

ウッドショック以降続く資材価格の高騰に加え、人手不足を背景とした人件費も、工務店の利益を圧迫しています。

とくに中小規模の工務店や下請けの立場では、コスト上昇分を販売価格へ反映させることが難しい状況です。

建設コストの上昇率が一般的な物価上昇率を上回ることからも、利益の確保が難しくなっています。

DX化の遅れ

人手不足を補い、生産性を高めるうえで、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化は欠かせません。

しかし、建築業界では他の業界と比べてデジタル技術の導入が遅れている傾向にあります。

経済産業省は、古いシステムを使い続けることで将来的に大きな経済損失が生じる「2025年の崖」について警告しています。

実際、建築・土木業界の約6割が、今も古いシステムを使い続けていると回答しました。

業務の効率化やデータを活用した経営判断のためにも、システムの見直しが急務です。

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今後、工務店に必要な4つの戦略

今後、工務店に必要な4つの戦略

新築住宅着工戸数が減少する厳しい市場で工務店が売上を伸ばすためには、従来の「新築棟数を追う」経営モデルから考え方を変える必要があります。

ここでは、経営変革に役立つ以下4つの戦略をご紹介します。

  • 高付加価値化(受注単価の向上)
  • リフォーム市場の攻略
  • 事業再構築補助金を活用した横展開
  • デジタル集客の最適化

高付加価値化による受注単価の向上

価格競争から抜け出すために、住宅性能に特化するアプローチが有効です。

例えば、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)や高気密高断熱といった「高性能住宅」に絞り込む方法です。

国の省エネ基準義務化や、高性能住宅向けの住宅ローン優遇なども追い風となっています。

お客様に長期的な光熱費の削減などのメリットをお伝えすることで、受注単価と利益率の向上が期待できます。

リフォーム市場の攻略

縮小傾向にある新築市場だけに頼らず、リフォーム・リノベーションといった既存住宅の市場を、新しい収益源として確立するのも一つの手です。

「先進的窓リノベ2025事業」のように、国は省エネ改修に対して手厚い補助金を用意しています。

こうした制度をお客様への提案材料として活用し、「今リフォームすると、これだけお得になります」と示すことで、受注の後押しになります。

事業再構築補助金を活用した横展開

建築で培った技術や経営資源を活かし、異なる分野に進出する「横展開」の動きも出ています。

以下のような、事業再構築補助金を活用した採択事例も増えています。

  • 工務店がエクステリア(外構)事業のノウハウを活かして「カフェ」を開業したケース
  • 建設業者が得意な古民家リノベーション技術を応用し「簡易宿所」の運営を始めたケース

自社の強みを見直すことが、新しい収益の柱を見つけるきっかけになります。

デジタル集客の最適化

やみくもに広告を打つのではなく、自社の強みを求めている「見込み客」に絞った集客活動が求められます。

例えば、Instagramでは「いいね」の数だけを追うのではなく「この間取りを参考にしたい」と保存されるような、魅力的な施工事例を発信します。

また、自社が得意な分野でのSEO(検索エンジン最適化)を強化し、自社を必要としているお客様に、的確に情報を届けましょう

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工務店数の推移Q&A

工務店数の推移Q&A

最後に、ウェブタン(住宅建築WEB担当者育成協会)によく寄せられる、工務店数の推移や住宅市場に関する質問と回答をご紹介します。

Q. 2025年以降、住宅着工件数は回復する見込みはある?

A. 複数の民間調査機関が、2025年度の住宅着工戸数は微減、あるいは横ばいで推移するという予測を発表しています

建設経済研究所は2025年度の着工戸数を約79.0万戸(前年度予測比0.9%減)と予測しました。

背景には、省エネ基準義務化に伴う駆け込み需要の反動や、建設コスト・住宅ローン金利の上昇などがあります。

また、中長期的には人口や世帯数の減少傾向も影響すると見られています。

Q. 工務店数の増減が激しい都道府県はどこ?

A. 建設業許可業者数が最も多かった平成12年3月末時点と比べた場合、すべての都道府県で業者数は減少しています

なかでも、とくに減少率が高かった都道府県は以下のとおりです。

  • 秋田県:-36.4%
  • 宮崎県:-33.5%
  • 群馬県:-32.3%

地域によって市場の縮小ペースに差があります。

まとめ

新築住宅着工戸数の減少が続き、工務店数の動向も競争の激化を示しています。

変化の厳しい市場環境において、安定した集客を実現するには、従来のやり方を見直したWEB集客戦略が不可欠です。

高性能住宅への特化、リフォーム市場の戦略的攻略、OB顧客との関係性強化などの今後の経営方針を明確にし、強みをターゲットに届けるためのWEB集客を強化しましょう。

本記事の情報を参考に、市場動向や自社の立ち位置を正確に把握し、持続可能な経営に向けたWEB集客戦略の構築にお役立ていただければ幸いです。

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