リフォーム市場は需要がある一方で、「どこに任せるか」を慎重に比較する時代になりました。
そのため、WEB上での見せ方が成果を大きく左右します。
しかし、「問い合わせが以前より入りにくい」「競合が増えたように感じる」「何を打ち出せば選ばれるのかわからない」と、具体的な改善策に悩まれている企業の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、住宅建築業界のWEB担当者様をサポートしているウェブタン（住宅建築WEB担当者育成協会）が、最新のユーザー行動と市場動向を踏まえた“値引きではなく納得で選ばれる”ためのWEB戦略を解説します。
比較検討の段階で強みが伝わり、価格競争に陥らない状態をつくるための実践的な内容です。
リフォーム分野で成果を高めたいWEB担当者様は、ぜひ最後までご確認ください。
WEB運用・広報戦略に関するお悩みをお持ちの住宅業界の企業様・WEB担当者様は、ウェブタン（住宅建築WEB担当者育成協会）へお気軽にご相談ください。
「外注に頼らないWEB体制づくり」を目指す企業様・担当者様を全力でサポートいたします。
活動内容を見る目次
リフォーム業界の現状｜需要はあるが、WEBでの伝え方が結果を分ける
現在のリフォーム業界は、需要自体は安定している状況です。
しかし、情報が手に入りやすくなったことで、ユーザーは複数社を比較して「どこに任せるか」を慎重に選ぶようになりました。
競争が見えるようになったことが、今の市場の特徴だと言えます。
新築は減少傾向、リフォーム需要は安定成長
減少傾向である新築住宅の着工数に対し、リフォーム市場の需要は安定的です。
国土交通省の「建築物リフォーム・リニューアル調査報告」でも、受注高は増加傾向にあります。
このような背景には、次の環境変化があります。
- 国・自治体によるリフォーム補助金の拡充
- 既存住宅を長く使う「ストック住宅化」の推進
- 省エネ・バリアフリーなど暮らし改善ニーズの高まり
これらにより、住まいを“更新しながら使う”需要が継続的に生まれている状況です。
〈参考〉
・国土交通省『建築物リフォーム・リニューアル調査報告（令和7年第1四半期受注分）＞令和７年度第１四半期受注分_調査報告データ』
・国土交通省『既存住宅・リフォーム市場の活性化に向けた取組み』
リフォーム会社数は急増していないが、競争が「可視化」されている
リフォーム業界では「競合が多い」と語られることが多いものの、実際にリフォーム会社の数が急増しているわけではありません。
国土交通省「建設業許可業者数調査」でも、建設業全体の事業者数は横ばい〜微増にとどまっています。
増えたのは、ユーザーが比較できる情報量です。
インターネット、比較サイト、SNSの普及により、ユーザーは自宅にいながら価格や施工事例、評判を容易に並べて検討できるようになりました。
つまり、競争が激化したというより、これまで見えにくかった競合が可視化された状態です。
選ばれるためには、他社との違いを言語化して伝えることが求められています。
〈参考〉国土交通省 『全国の建設業許可業者数は2年連続で増加 ～令和6年度末の建設業許可業者数調査の結果～』
リフォームの見積もりは「3〜5社を比較」が標準に
今のユーザーは、複数社の見積・口コミ・施工事例を比較してから判断するのが前提です。
重要なのは「問い合わせ数」ではなく、比較の土俵に立ち、そこで選ばれる理由を示せているかです。
選ばれる基準は「価格」より「信頼と提案力」
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が行った「住宅リフォーム消費者実態調査」でも、リフォーム会社を選ぶ際に最も重視される要素は「価格」ではないことがわかっています。
意思決定の軸になるのは、主に以下のような点です。
- 説明が分かりやすいか
- 対応が丁寧か
- 相談しやすい信頼感があるか
特に高額リフォームほど、口コミ・施工事例・料金目安を事前に確認し、「安心して任せられる相手か」を基準に判断する傾向が強まります。
そのため、比較の場に上がった後は、提案に説得力があり、対応に安心感がある会社が選ばれると言えます。
〈参考〉一般社団法人住宅リフォーム推進協議会『住宅リフォーム消費者実態調査』
競合は近くの会社だけとは限らない
競合相手は、近くの同業者だけとは限りません。
リフォーム会社には幅広い選択肢があり、それぞれに選ばれる理由があります。
- ホームセンターやFCチェーン：手軽さと一定水準のサービス
- 大手メーカー：ブランドと品質の一貫性
- 地場工務店：地域密着による安心感と“人”が見える関係性
ユーザーはこれらを横並びに比較し、「自分にとってちょうどいい会社」を選びます。
そのため、競合は同じ商圏の会社だけではなく、全国チェーンやSNSで見つかる施工店も含まれます。
WEB担当者の役割は、自社がどのポジションにいるかを整理し、その強みが比較される段階で伝わる状態をつくることです。
多様化する競合の中で選ばれるための戦略を構築したい方は、ウェブタン（住宅建築WEB担当者育成協会）へお問い合わせください。
自社の強みを明確にし、比較検討で勝つための情報設計をサポートいたします。
セミナー・視察会を見る「問い合わせ前の不安解消」がホームページの役割
リフォームを検討するユーザーは、費用や品質など、何かしらの不安を抱えています。
ここからは、その不安解消にホームページがどう役立つのかを解説します。
ユーザーが「姿勢」を評価する時代：比較検討の新たな焦点
ユーザーは、ホームページとあわせて、SNSや口コミなど複数の情報源を行き来しながら「この会社はどんな雰囲気か」をつかもうとします。
たとえば、Instagramの施工事例やYouTubeの現場動画、Googleビジネスプロフィールの口コミや返信内容から、対応の丁寧さや誠実さを評価しています。
重視されるのは「評価点の高さ」ではなく“どのような対応をする会社か”という印象です。
そのため、ホームページには最終的な比較の際に、安心して任せられる理由が一目で伝わる情報設計が求められます。
比較で選ばれるための「3大安心材料」
比較の段階で選ばれるためには、「どんな会社なのか」「任せて大丈夫か」を判断できる材料を提示することが重要です。
安心して任せられる会社だと判断するために、ユーザーは以下の3点を特に重視します。
- 施工事例の情報量とストーリーの有無
- 担当者・職人の顔と仕事への姿勢
- 保証内容や標準仕様の透明性
施工事例は、写真だけでなく工事期間・費用・施主の要望と、その提案理由まで記載することで、ユーザーが自分の状況に置き換えてイメージできるようになります。
担当者の紹介は、「どんな人に任せるか」という不安解消に役立ちます。
さらに、保証や追加費用の条件を明示することで“見えない不安”を軽減することが可能です。
これらがそろっている会社は、自然と「問い合わせたい会社」の候補に挙がりやすくなります。
リフォーム業界が「きつい」のは仕組み改善の不足にある
問い合わせ件数が単純に減っているというよりも、「比較の場でうまく選ばれていない」ケースが多いように見受けられます。
複数社を並べて検討することが当たり前になった今は、情報の“見せ方”に差が出るだけで、結果に大きな違いが生まれやすい状況です。
ここからは、WEB担当者が意識しておきたい代表的な課題を整理します。
① 特徴だけが並び、提案の意図が伝わっていない
「高品質な施工」「丁寧な対応」「安心価格」といった表現は、多くの会社が使っており、あまり差別化にはつながりません。
ユーザーが知りたいのは特徴そのものではなく、“なぜその提案なのか” という理由です。
提案の意図や価格の根拠まで説明できていると、比較の場面で納得感が生まれます。
判断材料を言語化できているかどうかが、選ばれるかどうかの分かれ目になります。
② 施工品質や会社の姿勢が伝わっていない
多くのリフォーム会社は、現場で高い品質を保つ丁寧な施工をしています。
しかし、その企業努力が言葉で説明されなければ、なかなかユーザーには伝わりません。
工程管理の基準や使用する材料の選定理由、アフターフォローの体制など、品質を支えるための仕組みを説明できている会社ほど、「任せても大丈夫」という信頼を獲得できます。
リフォームの信頼性は、技術力そのものよりも、その技術を言葉で伝えられるかで決まると言えます。
③ Googleビジネスプロフィール・口コミ・動画が整備されていない
ユーザーは、ホームページとあわせて、Googleビジネスプロフィールの口コミや返信の様子、Instagramの施工写真、YouTubeの短い現場紹介などから「どんな会社か」を確認する傾向があります。
ここに情報が少ないと、比較の候補に入る前に検討から外れてしまうこともあります。
特に口コミ返信は、対応姿勢が伝わる大切なポイントです。
また、短い動画や現場紹介は、テキストだけでは伝わりにくい会社の雰囲気を補ってくれます。
発信で重要なのは量ではなく、見極めの材料がきちんとそろっていることです。
リフォーム業界の人材確保の現状｜求人を出すだけでは人は集まらない
リフォーム業界では、職人・施工管理・営業のいずれの職種でも採用単価が上昇しており、求職者が慎重に企業を選ぶ傾向が強まっています。
そのため、給与や休日といった条件だけでなく、働く環境や成長機会を具体的に示す判断材料をそろえておくことが重要です。
「きつい」「不透明」なイメージが応募を妨げている
求職者は、給与や待遇だけで会社を選んでいるわけではありません。
「この会社で成長できるか」「無理のない働き方ができるか」「人間関係に安心できるか」といった具体的な働くイメージを重視しています。
つまり、採用活動で求められるのは「条件の提示」だけでなく、"社内のリアルを伝えること"です。
教育体制や評価の考え方、1日の働き方などを具体的に見せられる企業ほど、応募の時点で信頼を得やすくなります。
「どんな人と働くのか」を見せることが応募につながる
採用広報で大きな効果を生むのは、会社の制度や理念よりも、「働く人」の姿をきちんと伝えることです。
社員や職人、施工管理の方が、どんな思いで仕事に向き合っているのか、どんな雰囲気で現場が動いているのかがわかると、求職者は自然と「ここなら働けそう」と感じやすくなります。
実際に、就職情報系サイトでもスタッフ紹介や現場の様子をSNS・ブログ・動画で発信した企業では、応募率が大きく向上した事例が多く紹介されています。
人のあたたかさや空気感が伝わると、働くイメージが具体的になり、応募という行動につながりやすくなるのです。
リフォーム業界は「将来性があるのに伝わっていない」
リフォームの需要は継続的な需要が見込まれ、技術力や提案力が評価される職種です。
しかし、現場ではその魅力や働き方が十分に発信されておらず、「きつい」「将来が不安」といったイメージが先行しがちです。
課題は“将来性がないこと”ではなく、“将来性が伝えられていないこと”にあります。
だからこそ、採用広報を通じて、リフォーム業界の将来性と安心して働ける環境を丁寧に伝えることが、応募者獲得の最大の武器になります。
リフォーム業界のWEB担当者が今すぐ取り組める3つの実践施策
多くのリフォーム会社は、強みがないのではなく、強みが見える形になっていないケースも少なくありません。
情報の整理と伝え方を少し変えるだけで、集客と採用のどちらにも良い影響が生まれます。
ここからは、明日からでも取り組める、再現性の高い3つの施策に絞って紹介します。
施工事例は「作品集」から「検索ツール」へ進化させる
施工事例は、ただ並べるだけではユーザーが比較しづらくなってしまいます。
以下の視点で整理し、絞り込めるようにすることが大切です。
- 工事内容
- 価格帯
- 築年数
- 担当者
- エリア
このように分類することで、ユーザーは「自分の家にも近いケースがある」とイメージしやすくなります。
事例は“作品を見せる場所”ではなく、ユーザーが自分に置き換えて考えられる情報設計がポイントです。
スタッフ紹介で「会社の人格」と安心感を伝える
リフォームは“どんな人が担当してくれるのか”も、検討の大きな決め手になります。
スタッフ紹介ページでは、顔写真や役職だけでなく、「得意な工事」「仕事への想い」「お客様へのメッセージ」など、人柄が伝わる情報を丁寧に載せましょう。
そうすることで、会社全体の雰囲気に“人格”が生まれ、ユーザーは「この人たちなら任せられそう」と具体的にイメージでき、心理的な距離が自然と縮まります。
Googleビジネスプロフィールと口コミ対応で「信頼の決め手」を作る
問い合わせ前のユーザーは、Googleビジネスプロフィールで口コミや写真、対応の雰囲気を確認することが多くなっています。
特に、口コミへの返信は “その会社がどんな姿勢でお客様と向き合っているか” が最も伝わりやすい部分です。
良い口コミには感謝を、気になる口コミには落ち着いた説明や改善の意志を示すことで、誠実さが自然と伝わります。
第三者からの評価と、それに対する丁寧な対応の積み重ねは、複数社を比較しているユーザーの「ここに相談してみよう」という気持ちを後押ししてくれます。
これらの施策を自社で実行・定着させるための体制づくりにお悩みの方は、ウェブタン（住宅建築WEB担当者育成協会）へお問い合わせください。
集客と採用に効く、実践的なWEB運用体制の構築をサポートいたします。
協会に加盟するまとめ
リフォーム業界の現状を踏まえ、「競争が可視化された時代」におけるWEB発信の役割と、ユーザーに選ばれるための情報設計のポイントを解説しました。
問い合わせを増やす前に大切なのは、「この会社なら安心して任せられそう」と感じてもらえる根拠を、わかりやすい形で届けることです。
今回の内容が、自社の発信を見直すきっかけとなり、集客や人材確保のためのWEB戦略となれば幸いです。